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入れ歯コラム
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「上の歯は全部なくなったけれど、下の歯はまだ残っている」 「下だけ総入れ歯にしたいけれど、噛み合わせは大丈夫?」 結論から申し上げると、上だけ・下だけの総入れ歯でも、きちんと作製すれば問題なくお使いいただけます。 ただし、片顎だけの総入れ歯には、上下両方が総入れ歯の場合とは異なる注意点があります。 当院では40年以上の経験をもとに、残っている歯との噛み合わせを考慮した入れ歯作りを行っています。
片顎だけが総入れ歯になるケースは珍しくありません。 当院の経験では、上顎だけ歯を失った方が比較的多い傾向にあります。 その理由の一つは、上顎と下顎の骨の性質の違いにあります。上顎骨は「海綿骨」と呼ばれる柔らかい骨でできているのに対して、下顎は「緻密骨」という硬い骨で構成されています。 この違いにより、上顎の方が歯周病などの影響を受けやすく、歯を失いやすい傾向があるのです。
上顎の歯が全部なくなるケースには、ある共通したパターンがあります。 まず、奥歯から失われていきます。 奥歯がなくなると、食事の時に前歯ばかりで噛むようになります。 奥歯は100kg程度の噛む力を受け止められますが、前歯が耐えられるのは30kg程度です。 本来の役割以上の負担がかかり続けた前歯は、次第に前方へ押し出されて「出っ歯」のような状態になり、最終的には抜けてしまいます。 下顎は硬い骨で支えられているため、このような連鎖的な崩壊は比較的起こりにくいとされています。
片顎だけが総入れ歯の場合、反対側の天然歯や被せ物との噛み合わせが非常に重要になります。 上顎が総入れ歯で下顎に天然歯が残っている場合、天然歯の噛む力は入れ歯よりも強いため、入れ歯側に過度な負担がかかりやすくなります。 噛み合わせのバランスが悪いと、入れ歯が外れやすくなったり、歯茎に痛みが出たりする原因となります。
入れ歯の安定性は、上顎と下顎で大きく異なります。 上顎の総入れ歯は、口蓋(上顎)全体を広く覆うことができるため、吸着力を得やすく、比較的安定しやすい構造です。 上顎は頭蓋骨に固定されているため、入れ歯自体が動くことはほとんどありません。 一方、下顎の総入れ歯は馬蹄形(U字型)になるため、吸着できる面積が限られます。 さらに舌の動きの影響も受けやすく、上顎に比べて外れやすい傾向があります。 そのため、下顎だけの総入れ歯は、より精密な作製技術が求められます。
当院では、総入れ歯を作製する際に「ゴシックアーチ」という計測方法を100%実施しています。 ゴシックアーチとは、上下の噛み合わせの高さだけでなく、下顎が左右・前後に動く際の軌跡を記録する方法です。 「描記針」という器具を使って顎を動かしていただくと、扇形の波形が描かれます。 この波形をもとに人工歯を配列することで、噛み合わせの精度が格段に向上します。 この「ゴシックアーチ」という方法を実施している歯科医院は、全体の5~10%程度と言われています。 手間と技術が必要なため敬遠されがちですが、ゴシックアーチで作製した入れ歯は、下顎を左右に動かしても上顎の入れ歯が揺れることがほとんどありません。 装着後の調整もほとんど必要なく、長期間安定してお使いいただけます。
片顎だけの総入れ歯の場合、費用の目安は以下の通りです。
下顎の方が費用が高くなるのは、前述の通り、安定性を確保するための技術的な難易度が高いためです。
きちんとした総入れ歯を作製する場合、当院では3ヶ月半から4ヶ月程度の期間をいただいています。 これは、型取りや噛み合わせの調整を丁寧に行うためです。 ただし、3Dプリンティング義歯(光学スキャナーで口腔内をデジタル計測し、コンピューター上で設計・作製する入れ歯)を活用する場合は、最短2週間程度での完成も可能です。 お急ぎの方はご相談ください。
下顎の総入れ歯がどうしても安定しない場合、インプラントを併用する「インプラントオーバーデンチャー」という方法があります。 これは、顎の骨に2~4本のインプラントを埋入して、その上に入れ歯を固定する方法です。 通常の総入れ歯よりも格段に安定性が増して、硬いものでもしっかり噛めるようになります。
インプラントオーバーデンチャーは、以下のような方におすすめです。
当院では、インプラントオーバーデンチャーを330,000~352,000円(税込)/1床でご提供しています。院長は日本口腔インプラント学会会員であり、ITIインプラントマスターコースを修了しておりますので、安心してご相談ください。
インプラントは外科手術を伴うため、すべての方に適しているわけではありません。当院では、まずはゴシックアーチを用いた精密な総入れ歯を作製して、それでも安定しない場合にインプラント併用をご提案するという流れを基本としています。 「お金をかければ良い入れ歯ができる」とは限りません。患者様の状態に本当に合った方法をご提案することが、当院の方針です。